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体にいいものを、
美味しく手軽にとれる。
福井の魅力をアピールできる
オリーブオイル。

中辻 美紀さん
(WWHハーブオリーブオイル商品開発担当者)
オリーブオイル専門店deww
https://oliveoil-deww.com/

体にいいものを、美味しく手軽にとれる。福井の魅力をアピールできるオリーブオイル。
奥深い芳醇な香りとスパイシーな後味。福井で唯一のオリーブオイルソムリエ、中辻美紀さんがセレクトしたオイルは、いつも新しい食との出会いをもたらしてくれます。WWHではハーブオリーブオイルの開発を担当しました。屈託のない笑顔と説得力のある言葉で福井の食卓を変える彼女が、また一つ新しい美味しさを教えてくれます。

自分で切り開いてきた人生。
その全てがオリーブオイルにつながっていた。

 生まれ育った福井から外に飛び出すことを決めたのは大学を卒業する時のこと。「福井の外の世界も知っておきたい」と美紀さんが向かった先はアメリカでした。それまで一度も福井を離れたことがなかったのに、初めて実家を離れて暮らした場所が世界一の大都会ニューヨーク。インターンシップビザを取得して旅行会社で働き、一年で帰国する予定が4年間を過ごしました。

その後、イタリアでのホームステイ後に福井に戻りホテルに就職します。けれど、もともと食や語学に興味があったこともあり、ワーホリビザで渡仏。フレンチレストランで働き始めました。

思い立ったら即行動。やりたいことは、まずやってみる。持ち前の行動力と物怖じしない性格で、どんどん世界を広げた20代。気がつけば、福井と海外を行き来する人生を築きつつありました。けれど30代になって大きな試練が訪れます。それは若年性乳がんの発症でした。フランスから帰国し、福井で貿易の仕事について10ヶ月が過ぎたころでした。

「この時に初めて、自分の人生について考えました。ホルモン治療が終わるころには私は36歳。子供を産む人生を歩むなら、治療を先延ばしにしたい年齢です。けれど医師に『欲しいものを2つ手に入れることはぜいたくなこと。子供を産む人生と自分の命。どちらを優先するか』と問われ『命をとる』と答えました」
自分で切り開いてきた人生。その全てがオリーブオイルにつながっていた。

誰かのために役に立てる人生を。
たった一人でもいいから喜んでもらいたい。

「今までは自分のためだけの人生でしたが、誰かのために役に立つことができる人生にしたいと思うようになりました」

自分のやりたいことだけをやってきたけれど、それは何のためだったのか。そこには何か意味があるのではないか。病気をきっかけに人生を見つめ直したことで、自分がするべきことがはっきりと見えてきたと美紀さんは語ります。

「辛い治療に耐えながら、元気になりたいと心底思いました。食べるものが体を元気にするのだと改めて気がつき、体に良い食べ物を調べるうちにオリーブオイルに行き着きます。食文化への関心や海外経験、レストランや貿易の仕事など、これまでの人生すべてがオリーブオイルにつながっている気がしました」

治療と仕事、オリーブオイルの勉強の三つをこなすハードな日々が始まりましたが、美紀さんに迷いはありませんでした。貿易の仕事を通じて自分の目で商品を確かめることの重要性を知っていた美紀さんは、スペインの見本市に飛び込み参加。海外生活で培った語学力を武器に生産者とのネットワークを築き、農園にも足を運びます。そして品種や製造方法、上質なオイルの見極め方にいたるまで徹底して学びました。

「病気になったことでやりたいことが全てつながり、一本の線になりました」

上質なオイルを求めている人が福井に一人でもいるのなら、その人に届けたい。そこに私のするべき仕事がある。ずっと探し続けてきた答えが見つかった瞬間でした。しかし、そう思い始めた矢先、再び試練が訪れます。2014年、肝臓へのガン転移が見つかりました。

「ショックでした。けれど今は体が動く。やりたいことがあるのに不完全燃焼で人生が終わるのは嫌だし、時間は巻き戻せない。それならば今すぐ始めようと決意しました」

職場の理解もあり会社で働きながら準備を始め、2015年dewwを設立。オリーブオイルソムリエとして起業しました。
誰かのために役に立てる人生を。たった一人でもいいから喜んでもらいたい。

オリーブオイル+αが面白い。
いいものを手軽にとれるアイテム。

それまでは美紀さんにとって、西洋ハーブも和漢植物どちらも縁遠い存在でした。けれどプロジェクトの誘いを受けた時、料理に風味をつけるだけではなく、生薬を入れるところに魅力を感じたそうです。

「西洋ハーブや和漢植物を手軽に取り入れられる楽ちんアイテムになれば面白いと思いました」

西洋ハーブを漬け込んだオリーブオイルはよくありますが、和漢植物が入ったものは見かけません。そのためハーブの配合や風味の設定もゼロから考えなければなりませんでした。ドライハーブでは軽すぎて重量が一定にならない。どのくらいの量でどれほどの風味がでるのかも未知数。量と風味の強さの条件設定が最も難しかったそうです。

「一番こだわったのは味です。トウキの風味は奥にとどめて、ポイントとなる西洋ハーブの味が前面に出るようにしました」

何度も試作を重ね、メンバーを集めてテイスティングし意見交換する。それは美紀さんにとって初めての経験。自分とは違う価値観やバックグラウンドを持つ人たちの意見は新鮮でした。

完成した新商品は、これまで誰も味わったことのない美味しいオイルに仕上がりました。誰もが気軽に使えるようにと、新商品を活用するレシピ考案を美紀さんの仕事仲間であるフレンチシェフに依頼。WWHリリースパーティーの料理として披露し、好評を得ました。

「トウキの葉に豊富に含まれるビタミンEはオイルと一緒に摂ることで吸収率があがります。美味しくて体にもいいオイルになりました」と自信をのぞかせます。
オリーブオイル+αが面白い。いいものを手軽にとれるアイテム。

もっと「福井」をアピールして、
福井に訪れる人を増やしたい。

海外にいても、美紀さんの軸はいつも福井にありました。福井の中心部で生まれ育った一方で、外からの視点を備えているのが彼女の魅力のひとつ。これまでの経験を生かして、福井をアピールできる商品開発やプロモーション活動をやってみたいと話します。

「県外の人に福井を知ってもらい、福井に足を運んでほしい。そうすれば福井がもっと賑やかになり楽しくなるはず」

オリーブオイルを通じて、生まれ育った福井をアピールしたいー。地産地消の素材で、福井の魅力ある女性たちが手がけたWWHハーブオリーブオイルは、美紀さんにとって福井の魅力を伝えるツールでもあります。

「これからもオリーブオイル+αという形で、国内外を問わず、楽しいイベントを企画して楽しい時間をたくさんの人と共有していきたいです」

もっと多くの生産地を訪問し、さまざまな品種のオイルを味わい、たくさんの人と出会い、オリーブオイルの楽しみ方を研究する。そしてオリーブオイルと他のものをつなげて、もっと楽しい時間を作り出していく。自分の進むべき道を見つけた美紀さんの人生は、これからもますます楽しい出会いを重ねていきそうです。福井が誇るオリーブオイルソムリエが作り出した新しいハーブオリーブオイル。ぜひ楽しみながら味わってください。
もっと「福井」をアピールして、福井に訪れる人を増やしたい。

WWH herb olive oil

  • © echizenyumefarm inc.